Zero Waste Life 2024年2月

Zero Waste Life 2024年2月

日本には昔からあらゆるものには大切な「命」があり、その「命を最後まで生かしきる」という思想が連綿と息づいてきた。それはモノの命を慈しむ、まさに「捨てない暮らし」そのもの。モノの命を慈しみながら暮らしを楽しむ人々の素晴らしさを世界に向けて伝える15分番組。
=============================================
脚本家・倉本聰の自伝に興味深い記述を見つけた。戦後まもなく、少年時代の倉本が家庭教師に「資本主義とは何か?」と尋ねたところ、その教師は「壊れた時計を修理するのではなく、新たに買うこと」と答えたそう。なるほど、資本主義の一面を鋭く言い当ててますね。この番組は開始以来、モッタイナイ精神から派生する壊れたモノの修理やリメイクをメインに取材し、世界中から共感を得てきた。番組を制作していて感じるのは、「贅沢」という概念の変化だ。昔は修理せずに新たに買うことが贅沢だったのだが、今は古きモノを修理し続けながら使い続けることを贅沢と感じる人々が増えている。もちろん「資本主義」=「贅沢」ではないが、この番組も変化し続ける社会に寄り添って制作を続けていきたい。
三田豊

今月の放送(NHK WORLD-JAPAN )英語版 毎週金曜 午前10:45~11:45ほか

2月2日(金)
#54 Life of the Mountain 山の命の贈り物
東京最西端の山麓。森の入り口にアトリエを構える竹沢むつみさんは、害獣として駆除される動物の革で雑貨を作っている。通常は捨てられてしまう革だからこそ、命を吹き込む喜びも大きい。

2月9日(金)
#55 Doll Revival 生き返る節句人形
埼玉・鴻巣市に暮らす的場健祥さんは日本伝統の節句人形を修復する名人。染みやくすみは勿論、割れた顔さえも元通りにする。人形は大切にすれば100年生きられる。だから捨てずに何度でも直しに来て欲しいという。

2月16日(金)
#38 Life Taken, Life Received 「害獣」の獣の命いただく
流行の発信地、渋谷。その喧騒から少し離れた場所に佇むフレンチレストランがある。オーナーは室田拓人さん。扱う食材には強いこだわりがある。それは積極的に「害獣」の肉を使うということ。日本では農作物を荒らす動物を「害獣」と呼び、駆除の対象としている。しかし、日本には野生動物の肉を食べる習慣があまり根付いていないため、害獣の肉はおよそ9割が廃棄されてしまっているのが現状だ。室田さんは害獣の肉の特性をいかすだけでなく、骨や血までも徹底的に無駄なく使うことを心がけている。そうすることが、人間の都合で命を奪った獣たちへの、せめてもの償いだと考えているからだ。

2月23日(金)
#39 Clothes to the Earth 地球に還る服
澤柳直志さんは、天然素材だけで服を作っているファッションデザイナー。ポリエステルも化学染料も一切使わない理由は、丸ごと土に埋めても問題のない商品にするため。澤柳さんの服は、土の微生物が時間をかけて跡形もなく分解してくれる。服を分解しやすい土を作ってくれたのは、ビジネスパートナーで農学に通じている廣田拓也さんだ。2人のブランドの特性は、素材だけでなく、売り方にもある。「販売」ではなく「無期限レンタル」──つまり、お客さんが着古した服を引き取るという方式。服が最後、土の一部として地球に還るところまでを見届ける。そこまでが2人の服作りなのだ。

3月1日(金)
#40 Full Trash Alchemist 廃材の錬金術師
「僕にとってゴミ箱は存在しないもの。なぜならそれは素材箱だから」と語る村上結輝さん。子供の頃から工作が大好きだった彼は、芸術大学の卒業制作でバナナの皮から作った“バナナレザー”を発表。それをきっかけに、ゴミやスクラップを生まれ変わらせる素材クリエイターとなった。あるときはコーヒー滓からランプシェードを、またあるときは不要になったレシートから椅子を作る。村上さんの作品は見た目がユニークなだけでなく、できるだけ土に還る素材を使うなど、環境への負荷も考慮されている。この錬金術師ぶりが話題となり、現在は廃棄物に困った企業からの相談が後を絶たない。

※この番組は放送終了後も、ビデオオンデマンド(外部サイト)でご覧いただけます。

※YouTubeのNHK WORLD JAPANのチャンネルでも「Zero Waste Life」は視聴いただけます。
 リンクはこちら(外部サイト)

NHK BSでも放送があります。英語版 毎週金曜 午前4:30~4:45

2月 2日  #6「染色でゴミを宝に」
2月 9日  #7「雑魚のレストラン」
2月16日  #8「廃材バイオリンを奏でる」 
2月23日  #9「花の一生を見届ける」 
3月 1日  #10「八ヶ岳のエコばあちゃん」

音楽

笠松泰洋

ナレーション

ガイ・ペリマン

音響効果

岡林亜実

ディレクター

小林陽子(#6、#9)
浅野直広(#7)
伊藤メグミ(#8)
渡辺裕太(#10、#55)
岡崎ひかり(#39、#54)
奥野崇(#38)
藤原綾子(#40)

AD

潘志揚

プロデューサー

琢磨修一

ゼネラルプロデューサー

三田豊