最後の講義「落語家 桂文枝」
文枝師匠はいつも携帯を3つ持って移動している。そのうちの一つには弟子とやりとりする小話がぎっしり記録されている。毎日弟子たちに宿題を出し、それを添削しているのだ。80歳を超えてなお、こだわりは続く。
文枝師匠は誰に最後の講義を聞かせたいかという私たちの問いに、ユーモアを一番持って欲しい医者の卵たちの前で語りたいとおっしゃった。母や妻を亡くし、医師への思いが非常に募ったのだろうと私たちは感じ、ぜひ、その方向でいきましょう!と即座に相槌を打った。
当日、師匠に意気込みをインタビューしようとしたら、「この道を志す若い噺家たちの前で最後の講義は行うべきだった、後悔している」と語り、私たちは爆笑。どこまでも笑いにこだわる師匠の人生、必見です。
(長澤智美)