サラメシ 2021年8月
♯サラメシ…SNSのコメントには励まされることも多いが、そうでないこともある。中でも気になるのは、取材相手のちょっとした言動についてのコメント。一番多いのは箸の持ち方への指摘だ。箸の持ち方の上手下手など、取材をお願いする際の判断材料にあるワケもなく、正直、下手でもいいじゃないか~!と思う。我が子なら直すのも親の役割かも知れないが、テレビで見ただけの、視聴者にとっては知らない誰かでしかないのに、なぜ殊更悪者を見つけたように言う人たちがいるのか…。
ちなみにプロデューサーのボク自身、箸がちゃんと持てない。ただ、そのことで萩本欽一さん…欽ちゃんに褒められたことがある。
もう20年近く前のこと。打合せの席で突然「あのさ…お箸ちゃんと持てる?」と聞かれた。同席した2人は持てた。「ヤバっ…」と思ったが目の前にはテレビ界のレジェンド、ここで嘘をついても得はなかろうと正直に言うと、欽ちゃんは「いいね!あなたお母さんが自由に大事に育ててくれた人!ウチの作家なんてお箸持てるヤツ一人もいないの!」。その是非はさておき、欽ちゃん論では、箸の持ち方は母親のエゴであり、自分の見栄のために子どもの箸の持ち方を矯正するのだ、と。30半ばにもなって自分の育てられ方を褒められるという、恥ずかしくも貴重な体験だった。以来、欽ちゃんのせいにして堂々とへんな箸の持ち方を続けている。
だからというワケじゃないが、誰かの箸の持ち方くらい、目くじら立てずに番組を見てほしい。サラメシはずっと、肯定するテレビでありたいと思っている。笑うでも腐すでもなく、誰かの暮らしを肯定する。ちょっと気になるコトも、その人その家庭その職場で長年に渡って培われた人柄や習慣や関係性なはず。それをその人の当たり前として受け止め、描きたい。
(松葉直彦)
【今月の放送】※木曜日 昼12:20~の再放送は、23分の短縮版です。
真夏のスペシャル! ~東京2020の舞台裏だって働くオトナは腹がへる!~(72分)
8月17日(火)19:30~20:42/再放送 8月24日(火)午前0:04~1:16※月曜深夜
そこに働く人あれば、ランチを求めどこまでも!「サラメシ」恒例の真夏のスペシャル!今回は、異例づくめの東京オリンピック・パラリンピックの舞台裏を拝見。人々の注目を集めるのはいつだって選手だけれど、監督やコーチ、審判、競技スタッフなど、感動のシーンの裏側には、懸命に働く大勢のオトナたちの奮闘があった。忙しい彼らの日々を支える昼ごはんと知られざる仕事ぶりを、のぞかせていただきました!
再放送のお知らせ
シーズン10 #19 8月12日(木)ひる 12:20~12:43
島根県益田市のカトリック教会で司祭を務める30代の神父は、若い世代に共感してもらえるよう悩める人からの相談にライブ配信で答える試みを行っている。そんな神父の一人ランチをのぞき見。▽通りがかりの方にジェスチャーでランチを再現してもらうクイズ!私のランチ。今回は世界を股にかけて働くサラリーマンがチャレンジ。▽商業演劇の新たな道を開拓した演出家、浅利慶太が愛した、長野の山荘のおにぎりと特製コロッケ。
シーズン10 #20 8月19日(木)ひる 12:20~12:43
大阪市中央区、御堂筋の名前の由来にもなった寺では、普段は若手僧侶がまかない作りを担っているが、お盆の忙しい日だけは、先輩僧侶が得意料理であるカレーをみなにふるまう。猛暑を乗り切る僧侶たちのランチタイムを拝見する。▽太平洋の島国、パラオ共和国でウェディングフォトを手掛ける女性にランチ事情をリポートしていただくサラメシ海外特派員▽ランチの句を投稿してくれた方に、自撮りでランチ五七五をお願いしてみたら…
サラメシ英語版
『Lunch On!』
※NHK WORLD 毎週木曜 13:30~、19:30~、金曜 1:30~、7:30~
160の国と地域で放送衛星やケーブルテレビを通じて視聴可能。
8月 5日 「富士山頂神社のまかない」(再放送)
8月12日 「千葉のマッシュルーム農場の昼」(再放送)
8月19日 「大阪・御堂筋のお寺のまかない」(再放送)
8月26日 「社員食堂のリモートカメラインタビュー」(再放送)
ナレーション
中井貴一
プロデューサー
松葉直彦 松尾明美
アシスタントプロデューサー
宮﨑和子
リサーチ
冨田紀子
構成
たむらようこ 服部真由子
音効
井田栄司